2008年06月30日

遊び手が物語を自作するTRPGモデル 〜未完成ノートその4〜

 TRPGは物語再生装置だとし、その醍醐味は共有できる物語を共同制作していくことだとしている僕のTRPGは、遊び手に物語を作ることを要求します。シナリオの方向性について頻繁に判断を要求しますし、NPCもそれぞれの思惑のもとに自立的に行動します。

 そのせいでしょうか、僕のセッションにはオーバーヒートしてしまう遊び手が結構見受けられます。セッションを続ける気力が落ち、黙り込んでしまう人や、シナリオを放棄しようとする人など、物語を作る判断にギブアップしてしまうのです。
 結局、GMである僕が物語を収束し、GMの吟遊詩人で幕が下りるケースもしばしばあります。物語の舵取りをプレイヤーに任せたのに、先にプレイヤーが疲れてしまい最終的にはGMの1人語りになってしまう…。

 なんとかせんと、こっちも疲れてしまいます。

 そんなわけで、今日はGM・回転翼のシナリオにある対話ゲームの仕組みを少し整理してみます。デザインコンセプトの構想なので、例によってノート扱い。

◆◆◆

 僕もかつては葉鍵厨(『ToHeart』と『Kanon』の直撃世代)でしたのでビジュアルノベルの手法が影響しています。そしてBlog活動を始めてから、鏡氏や高橋志臣氏など、自由や創造性を重視するゲーマーの方々と意見合わせしてきた経緯もあり、TRPGを遊び手の自由な発想が活かされる創作ゲームとして形成してきたのだなと思います。

 遊び手が物語の主役であるべきと考えていますから、GMが干渉するのはシステムやタイムスケジュールなどの自然神的役割だけで、シナリオ展開は極力プレイヤーのやりたい事を成す事に専念します。

 僕にとってTRPGのシナリオは1つのゲーム作品であり、遊び手が異なるごとに違うセッションを提供できることを理想としています。遊び手がヒロイックを望めばヒロイックな展開に、ミステリーを望めばミステリーな展開ができる……。それを可能とするために、幾多の分岐が存在するシナリオ群を用意する必要がありました。
 遊び手の行動次第で幾多の分岐して存在するシナリオフラグの中から、遊び手が追い求めた展開にあったフラグが立ち、求めなかったフラグは封印されます。
 具体的にはそれぞれ目的と思惑、行動スケジュールを持ったNPCを複数用意し、遊び手が興味を持ったNPCを中心に物語が進みます。

 それだけだとビジュアルノベルそのまんまですから、複数の分岐NPCを個別に動かして、プレイヤー各人ごとに別のフラグを発動させます。これによって、パーティ各人ごとに物語上の役割分担をさせることができますし、個人目標とパーティ目標のジレンマを生じさせることもできます。
 もちろん、各人が個人目標達成のためにバラバラに行動しないように、定期的に集結させ、ミーティングの時間を取らせます。遊び手は自由に対策を考え、利害を調節することが可能です。

 多くのTRPGではキャラクターがなぜ冒険をするのか動機付けをするライフパスを用意していますので、NPCの設定はライフパスに応じるパターンに従って作ります。金銭を求めるキャラには大金の匂いをちらつらせたNPC、復讐者であるキャラには、復讐対象に関係ありそうな雰囲気のNPC、といった具合です。
 これによって、遊び手をシナリオから脱落しかねない行動……シナリオの舞台から抜け出そうとすることを阻止するようにします。

 シナリオのタイムスケジュールは曖昧でよいから行い、ゲーム時間1週間ぐらいで物語が自動的に収束するようにします。遊び手が友好的な行動をしなかった場合、最も関わりを持ったNPCが目的を達成し、関わりの薄かったNPCが犠牲になります。遊び手の行動に当事者感覚を持たせるために、NPCの行動には必ず他NPCの犠牲がつくように設定します。

 結果として、この形式はビジュアルノベル的に動く箱庭世界と分岐NPCの前に、TRPGのロールプレイと対話ゲームを以て遊び手自らが顛末を演出する展開となります。
 このゲームで遊び手たちは「自分たちはこういう価値観であり、こういう物語がしたい」という意志を明確にする必要があります。

◆◆◆

 …ざっとまとめてみたけど、これを簡単に理解させないとオーバーヒートさせちゃうんですよな。
ラベル:TRPG
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2008年06月26日

リアル薄刃乃太刀 〜インドの奇剣・ウルミー〜

 『るろうに剣心』にて、刀狩の張が使った「殺人奇剣・薄刃乃太刀」のモデルになったであろう剣がインドにあることを知り、好奇心に任せて調査してみました。
 
 その名をウルミーと云います。
 この武器、TRPG系資料では『武器事典(市川定春著/新紀元社)』、『武器だもの(武器ドットコム著/幻冬舎)』、そして『The Compendium of Weapons,Armour & Castles(マシュー・バレット著/パラディウム・ゲームズ)』にも掲載されていません。当然ながら、『D&D』、『T&T』など、TRPGにはまったく登場していない武器だと思われます。

 Urumi/ウルミーはインド南部・ケララ州に伝わる伝統武術・カラリパヤットで使われる剣です。ウルミーはChuttuval/チュッタバル(コイル状の剣ほどの意)とも呼ばれ、英語ではフレキシブル・ソードと訳されています。
 長さは4〜5.5フィート(120〜165cm)。グリップには護手がつけられています。何より特殊なのはその刀身で、粘性の強い鋼で作られたとおぼしき刃はゼンマイのように巻くことが可能です。普段は巻いたり、ベルトのように体に巻きつけて所持するようです。戦闘になると鞭のようにしごいて伸ばします。刃が複数本あるウルミーも存在します。
 剣ではあるが攻撃方法は鞭に近く、乱戦に向いているが自傷する危険も高く熟練した技量がいる武器であり、カラリパヤットでは一子相伝の武術とされています。ケララ州では突き技による剣術が発展しなかった(おそらく暑さの影響で鎧が発展しなかったからかもしれません)関係でウルミーが広まったとの事。

 ケララ州に伝わる叙事詩「Vadakkan Paatukkal」ではウルミーを操る女剣士・ウンニアルチャの物語があります。この叙事詩が作られたのは16世紀のようですから、その時期にはウルミーが存在してたと思われます。

 …以上がWikiなどで調べたウルミーの大まかな解説です。
 では実物がどんなものか、YouTubeにあった画像をどうぞ。

■Urumi fight in Kalarippayattu, Kerala



 もし『アリアンロッドRPG』で再現するなら、こうでしょうか。データは適当ですので使用するなら各自ローカライズしてください。

▼ウルミー
種別:長剣 Lv:4 重量:3 命中修正:−1 攻撃力:+5 行動修正:−1 射程:至近 装備部位:片手 価格:100

◆参考

 カラリパヤットとマラカーンプ
 インド武術を紹介するサイト。Vadakkan Paatukkalが掲載されています。

◆追伸(08/8/1)
 
 『GURPSマーシャルアーツ』にウルミー載っていました。
 これは盲点。
 
 
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2008年06月22日

語り部よりも映像 〜TRPGの戦闘は時代遅れになったのか〜

 親御さんが騒いだために白雪姫を25人で演技したという話をネットで知りましたけど、たとえ25人を並べても舞台の立ち位置で中央か隅っこかに分かれるのだから、結局平等にはなりません。
 そんなら25日かけて配役を持ち回りし、25回公演した方が平等だと思いません?

 今日はTRPGの戦闘が時代遅れになったのではという話。

◆◆◆

 TRPGがミニチュア・ウォーゲーム(MWG)から派生したのはこれまで何度か取り上げました。MQGに興じていたガイギャックスらのグループが、1人1駒だと駒に愛情湧いて楽しくない? と考えて作った戦闘システムが『チェインメイル』であり、そこに物語的要素……『指輪物語』的ファンタジーを演出するギミックを搭載したのが『D&D』です。
 『D&D』から31年。TRPGは大方『チェインメイル』で形成されたバトルゲームの基調を踏襲しています。

 『MGS4』をプレイしつつ、僕は思うのです。
 TRPGが提供するバトルゲームは、FPS(Frame Per Second/一人称シューティングゲーム)の出現によってその優位性を完全に喪失したのではないのか、と。これにMt:GなどのTCGを加えれば、TRPGのバトルゲームはより楽しく、より訴えるものが大きく、より手軽な存在になった他のゲームによって、ゲームを楽しむうえでの醍醐味を剥奪されたのではないのでしょうか。

 TRPGの戦闘システムの何が楽しいのかと云えば、

1:自分で設計したキャラを操り、バトルゲームに参加する楽しさ
2:駆け引き、やり取りのゲームの楽しさ
3:戦闘をロールプレイする楽しさ

 このうち、2に関してはこの記事にて取り上げています。TCGはカードという便利な道具を使って、TRPGのやり取りの道具であるコマンドを分かりやすく演出しています。また、収集と編成というTRPGにはない要素によって収集欲を発動させ、ただ記載されたデータを記述するTRPGのコマンドよりも高いモチベーションを醸し出しています。

 FPSに取って代わられた楽しさと見ているのは1の楽しさです。
 僕はそんなにFPSをプレイしているわけではないので確信は持てないのですが、TRPGはキャラクターの視点になってゲーム世界に投影をするという一体感が楽しいゲームでもあるわけで……あなたもこんな素晴らしい体験ができるよって呼びかけはガイギャックスですらしている……、やっぱりそれは対話によるイメージよりも、圧倒的なグラフィックと音響によって作られたデジタルゲームの方が強いんじゃないのかな。
 
 あと、3の楽しさはどうでしょうか。
 エキサイティングな戦闘こそ楽しいという人もいますけど、それならFPSの方がエキサイティングです。中にはモンスターを狩ること自体の快感が楽しいと説く人も昔はいましたけど、それなら『モンスターハンター』やればいいのだし、より率直に血が見たいなら『POSTAL』でもやればいいのではないでしょうか。

 ちなみに僕は、『POSTAL』の出現を以て、『バイオレンス!』のゲーム的使命は完全に終わったと思いました。

 他にも色々あるでしょうけど、僕はTRPGの戦闘システムが2008年現在、他のゲームよりも優れている要素は、新しく見つけない限りないのではと思っています。あくまでもTRPGの物語を彩る道具であり、メインとして醍醐味の第一位に設計するのはどうなのでしょうか。

 あと、この手の主張をすれば、別に優れている要素などなくてもいい、伝統を堅持すればファンはついてくるという意見を云う人もいるでしょうが、そういう人たちは今TRPGではなくMWGを好んでいるのではないかとも思うのですよ。

◆関連記事

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ラベル:FPS TRPG
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2008年06月15日

一般装備の存在感が薄すぎる 〜TRPGのセッションに直結しないデータ・設定〜

 『シルバーレインRPG』を購入。
 システムや世界観についてはまだよく分からないのですけど、このキャラクターシートだけはいただけません。レイアウトがゴチャゴチャしてて、システムの主要箇所と端書の区分が出来ておらず、これではどこから目を通せばいいのか、目眩がしてきます。
 はっきり云って美しくない。せっかくフルカラーにしたのに、デザインの面でも機械的過ぎて興を殺ぎます。グループSNEの悪い面が出たなという感があります。

 今日はTRPGの中で存在感が薄れているデータ・設定についてです。

◆◆◆

 TRPGでいわゆる一般装備と呼ばれるデータは、データとして省略される傾向にあります。キャラクターシートでも端書設定であり、多くのGMが一般装備にかける手間と時間を惜しみます。そしてセッションではまず見向きもされません。
 そもそもキャラクターの不足を補う意味で必要だった一般装備は、技能の細分化・データ化によって取って代わられた印象があります。10フィート棒で地面を叩く必要は、GMが親切丁寧に使う場面を提示してくれる感知系技能チェックによりなくなりました。
 データとしての必要性がなくなった以上、遊び手の日常にもあるありふれた道具類に過ぎない一般装備に、さしたるネタになる力があるわけもなし。データとしても、設定としても掲載されている必要性が著しく低い一般装備は、もはや装備欄の穴埋めとして掲載されているに過ぎない箇所とも云えます。

 もちろん、こんなことを云えば、「それは間違いだ。一般装備はTRPGで十分活用されている」という声が聞こえてくるかもしれません。それで現場に戻れば、まるでコラムを反証するかのようにあちらこちらで一般装備が重要視されるセッションに出会えるのではと密かに期待していたのですが、そういうことはありませんでした。
 まぁ魑魅魍魎の類が放つ幻聴だと思っています。
 
 一般装備は役に立たなくなったデータとして顕著な例ですけど、TRPGが多くある趣味の1つになって、非電源ゲームとしての立場が強くなった現在、システムと直結しないデータや設定が今後TRPGの現場にて必要であり続けるのか、疑問に感じます。

 TRPGの舞台設定は、ゲームとしての必要範囲を超えた膨大な世界観を示すものが多くあります。かつてTRPGが物語文化の最先端であった時代、TRPG作品はファンタジーの大本である『指輪物語』をはじめ、ファンタジー物語の諸要素をデータ化した百科事典としての役割がありました。今でもTRPGのルールブックには、ゲームシステムとは直結していない、読み物として機能している設定が数多くあります。

 翻って現代、別にTRPGゲーマーが『指輪物語』に精通している必要性……昔はTRPGゲーマー間でファンタジー知識への優越感ゲームがあった……も、TRPGが物語文化の最先端である必要性……昔はゲームイベントで人集めができるTRPGゲーマーはラノベファンなどにブイブイいわしてた……もなくなり、TRPGが無理して膨大な設定を用意する必要姓は著しく薄れています。

 さらに云えば、同じTRPGでも日本とアメリカとの文化の違いというのも微妙に影響していると僕は思います。
 アメリカで流行したTRPGは『D&D』をはじめ、その多くが追加ルールや設定を拡大させたメガクラスの作品ばかりです。それに反して、日本で代表的に遊ばれているTRPGは『ソード・ワールド』や『アリアンロッドRPG』を筆頭に、コアルール1冊に遊びのエッセンスを凝縮したゲームが好まれています。
 日本で多く行われているフリーセッション形式のコンベンションでは事前にどのゲームが用意されるか分からないことが多く、サプリメントや設定集まで持参してくる人は自ずと限られてきます。
 さらにフィギィアやフロアタイルなどのガジェットも省かれ、パーティゲームとしてお菓子や飲物の傍らに置ける程度のものに用具が凝縮されたプレイスタイルが定着しています。コンベンションにはダイスと筆記用具のみで現れ、むしろお菓子や飲物の方に気配りを見せる手弁当な参加者も多くいます。
 それに輪をかけて、参加者がルールブックを持参してこないだろうと、セッションに必要な箇所だけコピーして配布する親切心あふれたGMも出るようになり、もはやキャラクターシートに記載される主要情報以外は使われもしないし、読まれもしない。
 
 はたして、今後TRPGにシステムと直結しない設定、読み物としての役割は必要なのでしょうか。あるだけムダであり、ゲームに必要なデータの分量に割いたり、余分な設定など省いて文庫版などに小型化するべきなのでしょうか。

 確実なのは、このままでは使う機会は徐々に失われる一方だということです。「そんなことはない。活用されている」という声が誰の耳にも魑魅魍魎の幻聴にしか思えなくなってからでは遅いのです。
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2008年06月10日

TRPG業界で新規参入者が減少している3つの理由

 先日もコンベンションで『Pendragon』をGMでプレイ。
 30越すとGMも肉体労働だなと帰宅したら、秋葉原でとんでもない事件が発生してたとのこと。セッション中に家族から安否を気遣われたのは初めてのことです。
 犠牲者の方々には謹んで哀悼の意を表明します。

 今日は短めに、TRPG業界でなぜ初心者が減ったのかを少し。
 
 昨今のコンベンションでTRPG初心者が減ったという声は色々な場所で耳にします。このことに関し、多くの人が業界の衰退であると感じ、販売業者、デザイナー、ユーザーなどが活性化しなければ危うい事態であると思ってるでしょう。

 だが、業界の停滞を問い質す前に、そもそも新規参入者が安定して確保できる状態が自然だという期待感そのものが、現代に通用するのか考えてみてください。
 僕はむしろ、TRPG業界において初心者が減っているのはごく自然のことだと考えています。その理由は3つあります。

 理由の1つは、趣味文化が多様化していることにあります。
 かつてファンタジー物語の文化でコミュニティを築くとあらば、TRPGをするか創作同人をするかしか選択肢はありませんでしたし、情報を得るにもゲーム総合情報誌かライトノベル誌が主要メディアで、その双方にTRPGはありました。
 80年代においてTRPGは、内にウォーゲーム愛好家、CRPG愛好家、ライトノベル愛好家、ゲームブック愛好家など、多くの物語文化愛好家を包括する物語文化におけるメインフォルダの役割を担っていました。なぜなら、当時はこれらソリティア(1人遊び)および小規模な愛好者を纏めるコミュニティを築くには場が未整備であり、ゲームイベントで集客力のあったTRPGに頼っていたからです。

 現在は小説、漫画、アニメ、映画、ゲームとファンタジーを扱ったメディアは数多く存在し、それらすべてがインターネットというミニコミの発達により、独自にコミュニティを築くことが容易になっています。今やTRPGは物語文化の中で「多くある趣味の1つ」に格下げされています。無理にTRPGに触れずとも、物語文化を堪能できるメディアはいくらでも存在するのです。
 すなわち、80年代のようにファンタジーを楽しむならTRPGは避けては通れないと思う人はいなくなったのです。

 2つ目は、これはもっと単純なことですけど、若者自体が減っているということです。

 TRPGは80年代からずっと中高生をターゲットに展開をしています。物語文化の中で活動しているのですから、当然ながら情緒的で多感、物語にどっぷり傾倒してしまうティーンを対象に商売をするのは至極当然なことです。
 でも、若者自体が減少しているのですから、マーケットは縮小して当然のことです。

 そこで80〜90年代にTRPGを楽しんでいた現在の30〜40代の、元物語文化愛好者に働きかけているのが現在の業界なのですけど、このバブル組からロスジェネ世代に当たるこれらの世代は、現在とかくケチになりがちです。金銭面はもとより、時間という資源においてもまとまった出費をすることを渋る傾向があります。
 すなわち、自動車など高価で維持費のかかる商品を嫌うのと同様に、TRPGなど事前準備に時間がかかり、セッションにまとまった時間が必要な上に、メンツの都合でいつでも望み通りのプレイができるとは限らない不確実な趣味に払う機会費用を渋るという懸念が存在するのです。

 曰く、「TRPGをする服がない」ということです。

 結局、現在TRPGに興味を持っている人は、物語文化の中でTRPGというサブフォルダまで深くアンテナを伸ばすくらい好奇心や学習意欲が強く、なおかつ事前準備を黙々とこなし、ゲームイベントのために休日の日中をレクリエーション活動のために費やす気のある行動力を持った人だということになります。

 以上のことはTRPGに限らず、趣味文化の世界ならどこでも抱えている問題です。今はそれぞれの趣味が独自に情報をやり取りし、コミュニティを築きやすくなった時代です。多くの人が業界の実像をリサーチし、機会費用を算定した上で、自らの有益を確信してから趣味の世界に入ります。
 趣味人が視野を定めることに賢明になった……これがTRPG業界に初心者が減ってきた第3の理由と云えましょう。

◆関連記事

外に語る時代ではなくなった 〜TRPGブロガーがアニメ版ナイトウィザードに冷淡だった一因〜
労力は課題であって経費ではない 〜TRPGのコストとプロブレム〜
ラベル:TRPG
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2008年06月03日

『とらぶる☆エイリアンず』初プレイ

 『とらぶる☆エイリアンず』を初プレイしてきました。
 とてもタフなゲームです。簡単とか難しいとかいう以前に、今まで経験したことのない異質なTRPG……それも『D&D』の系譜から完全に外れた『ディプロマシー』の系譜に入る対話ゲームでした。紛れもなく、現在発売されているTRPGの中でも最も挑戦的な作品の1つと云えましょう。

 とにかく静かです。
 なにしろ対話のほとんどをメモでのやり取りで行っているのですから、誰もが黙々とメモを書き続ける。メモを取ってない時は常に相手の顔色を窺っているわけで、そこでもそこはかとない緊張が漂っています。周囲の卓がウォーゲームで盛り上がる『D&D』やコアなファンが集う『ウォーハンマー』だったので、黙然としたとら☆エリ卓はまるで異世界。僕のようなプレイの半分以上をムダ話に費やすタイプのプレイヤーにとっては完全ビジターだったわけですよ。
 
 でも、静かなプレイ風景とは裏腹に、ゲーム展開は大荒れだったようです。「だったようです」とありますけど、このゲームはPC同士が正体を隠していて、互いの正体を探りながらプレイしています。それだけだと「誰が味方か分からない」状態ですけど、このゲームにおける妨害行為(レイド)もこっそり行われるものですから、「誰が敵になったかも分からない」状態にもなってややこしい。
 
 夜中に襲撃されたから反撃したら、実は他PCからのレイドだったりして、それでも灯りをつけたら血の着いた刀を持った僕PCと血を流す襲撃側PCを見られて、第3のPCが僕に濡れ衣を被せ拘禁。実は第3のPCもマンイーターで口実をつけて僕PCを食べようとしたので、僕は食べられそうになった所でテレポート脱出して逃亡……なんてことが水面下で行われていたのですが、プレイ中は誰も何を起こしたのかおくびにも出さないのです。

 ちなみに、今回のメンツは以下の通り。

・ドライバーにしてエージェント/正体:火星人
・研究者にして大富豪/正体:秘術使い
・戦闘エリートにしてラッキー/正体:マンイーター
・謎の小学生にして大富豪/正体:未来人 (回転翼PC)

 火星人は「隷属」、秘術使いが「独自」、マンイーターと未来人(僕)が「根絶」だったわけで、誰1人「防衛」側がいないという事態で、云ってしまえば誰もシナリオをマジメにクリアをしようという選択をしなかったわけです。
 回転翼は最初のアイデンティティ選択で「マスコット星人」「ウォーモンガー」「未来人」の3種が出ていて、マスコット星人を選択すれば防衛陣営もプレイできたのですが、プレイ前から懸念していたことがあり、あえて根絶陣営を取りました。

 ある懸念とは、防衛陣営より隷属もしくは根絶陣営に属してシナリオの善処……人類のために戦うようなありふれた物語より、侵略者として暗躍する隷属、根絶陣営の方が遊び手としては新鮮であり、人気が集まるのではという思いでした。
 それはGMさんも周知だったようで、当初は防衛陣営中心だったパーティがプレイを続けるにつれ、隷属・根絶陣営の方が好まれるようになり、シナリオはgdgdになることが多くなったとのことです。

 然るに、とら☆エリの場合は単なる防衛・侵略という単純な枠組ではなく、人類を利用することを目的とする隷属側と、人類を滅亡させようとする根絶側との間にも対立させるようなシナリオを組む必要があるのです。
 今回のシナリオも、隷属側に属するNPCの暗躍がテーマでしたので、結果として任務失敗で防衛できなかったのですが、隷属陣営の勝利になって根絶陣営に経験値は入りませんでした。

 そもそも、同じ根絶陣営にいて、手が組めるはずの相手がマンイーターでは気が許せません。他の人たちも僕のムダ話が災いして、僕の正体が特定できなかったようです。
 シナリオの成否と同等以上の価値を持つ正体チェックにおいて、正解したのは僕が1人だけ。他の皆さんに比べて僕はメモのやり取りをせず、正体特定の推理に集中してたわけで、そっちでは僕1人辛うじて抜けたのですが、最終的に1人で逃亡したのと陣営側が勝利しなかったのが災いして経験点は10点と凡打でした。
 最後、機構に連絡してNPCを討伐させれば根絶陣営の勝ちだったのでしょうけど、残念ながら中盤からはずっと足の引っ張り合いだったパーティには、NPCの元凶を探る余裕もありませんでした。

 と、まぁ色々と反省すべき点がありますけど、要領をつかめばもっと楽しいプレイができるという確信が持てたとても良質なセッションでした。GMさん及びプレイ仲間の皆さんにはあつく御礼申し上げます。

 次はGMでプレイしたいゲームです。
 
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