2008年08月24日

なぜTRPGがプレイヤー間対立ではないのか

 どうもお久しぶり。
 まさか20日以上も記事を書かずに遊び呆けるとは思ってもいませんでした。近場ですが旅に出たし、コミケでも存分に遊びました。おかげで夜は眠くて眠くて、執筆する気が起こりませんでした。
 
 そんなわけで、今日もTRPGのメカニズムについて考察。
 こういう記事ってのは地味なのであまり人気は出ないんですよね。
 人目を引く記事ってのは不安と狂気を煽り立てるのが手っ取り早いわけでして、そうなるといかに業界の危機を煽動するか、さもなくば自分はいかにエキセントリックかをアピールするかなんですよね。
 まぁ、それをやるには近頃の僕は無難でダメなわけでして。

◆◆◆

 TRPGは複数人のプレイヤーvs1人のGMというゲームとしては奇妙な形式を採用しています。しかも、運営役も兼ねたGMは対立者というより試練を与える教導者であり、遊び手本人同士は全員が協調しているというゲームらしからぬ構図をしています。

 この構図からTRPGのゲームとしての特性を見出せず、TRPGはゲーム活動ではない何かなのではないかと考える人もいることでしょう。

 僕は先月、ミニチュア・ウォーゲーム(略してMWG)からTRPGに移行する間に起きたゲーム要素の変化を何度か推察してきました。そこでTRPGはMWGを1人1キャラで遊びたいという動機から、徐々にゲームバランスを取るべく整えられたシステムだというのが今までの推察です。

 だが、この推察だけでは現在の「多人数プレイヤーvsGM1人」の構図が定着した原因を特定するまでには至りません。元のMWGがプレイヤー間対立というゲーム本来の構図であることを考えれば、TRPGは単にMWGを1人1キャラで遊ぶために改造しただけのゲームではないと云えるデザイン思想の変化があったのではないのでしょうか。

 そして、変化がなければTRPGは現在のTRPGの姿をしていなかった可能性もあります。

 MWGを1人1キャラで遊ぼうという時点で、TRPGは現在とは違うゲームに進化する可能性がありました。
 1人1キャラでは死ねばゲームオーバーですが、MWGと同じ運営方法で行われているTRPGでは脱落でしかありません。プレイヤー側が全滅するまでプレイは続行されます。
 ここで「誰が最後まで生き残るか」がゲーム目標になっていたら、TRPGは違ったゲームになっていたかもしれません。あるいは、バトルの対立構図をマルチゲームのようにPC間対立にすれば、より早い時期に『ルーンバウンド』と同様のゲームになっていかもしれません。

 だが、ガイギャックスらのグループはあくまでも対局の構図にこだわりました。さらにモンスター側をGM1人に専任させ、プレイヤー側が共闘する現在の構図を堅持しました。もしMWGとしてバランスを取りたいのであれば、モンスター側にも同数のプレイヤーを割いて互角の人数による対局にしたでしょう。

 なぜガイギャックスらがゲームの対立構図をプレイヤー間対立ではなく、「多人数プレイヤーvsGM1人」の構図にしたかは、彼らが思想的基盤にしていた『指輪物語』が影響していたのではと僕は考えています。ガイギャックスらはゲームの販路を当時『指輪物語』に傾倒していた米国サブカル層に求めたわけですが、彼らにゲームを体感させるためには、指輪と同じような「旅の仲間」の構図にする必要がありました。
 
 販路が従来通りMWGゲーマーのみであったなら、ゲームとしての対立構図を明確にして彼らの競争欲を煽り立てたでしょう。だが、物語を体感したいサブカル層にことさら競争を煽るのは逆効果です。なぜなら、元々は繋がりが薄いサブカル層がコミュニティに集って求めるのは気軽に打ち解ける「同志」であり、対戦に勝ち抜き自らを誇示するゲーマーとしての意図は持ち合わせていないからです。
 
 販路をサブカル層に移したことで、TRPGは交友を促進するツールとしての機能が求められ、その結果現在の構図が生まれたのではないでしょうか。だとしたら、「多人数プレイヤーvsGM1人」の構図にゲーム特性が見出せないのも当然です。ゲームのための構図ではなく、交友を促進するために作られた構図なのですから。

 さて、色々な変遷を経てTRPGはバトルゲームとして独立し、『指輪物語』とともに発展していきました。それとともに、TRPGキャラの物語的意義も膨らむようになり、いつからは定かではないがシナリオが登場し物語世界を語り合うプレイスタイルが定着していきました。

 なぜTRPGに物語がついたかについてはまだ未推察なのですが、おそらくゲームとしてではなく、思想的基盤として用いた『指輪物語』の影響があるかと思います。ゲームの一要素として物語を取り入れたいというのではなく、『指輪物語』みたいなファンタジー物語を語り合いたいという要望が根源にあったかもしれません。
 もしTRPGがプレイヤー間対立の構図であったなら、プレイヤー同士は勝利するべく腹の探りあいをし、仲間同士打ち解けて物語を語り合う環境にはならなかったかと思います。

 『D&D』を取り巻く環境も、指輪が主でTRPGが従だったのでしょう。『D&Dエキスパートルール(通称青箱)』によってMWGから物語再現装置への道を進むことになりました。

 今日はここまで。
ラベル:TRPG 指輪物語
posted by 回転翼 at 09:01 | TrackBack(0) | TRPG雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。


×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。