2008年07月20日

GMは娯楽文化としての立場のために負けなければならない

 社会人層のTRPG離れが著しいという意見がありますけど、まず趣味と仕事を両立できる環境を育てないといけないという点で、全ての趣味文化共通の悩みと云えましょう。

 まずは、休日は静養以外に選択肢がないという層に、いかに精力・活力をつけさせるかという課題を解決しないとダメでしょう。そのためには滋養ある食事、適度な運動と健康な体作りが必要ですけど、まず第一に大事なのは、十分な睡眠を取ることです。それも夜間の睡眠は大事です。

 そのためには夜間のネット利用は慎むべきなのですが、それにはまず「昼間にネットで遊んでいても軽蔑されない」環境にしなければなりません。昼間ネットにいるのは無職引き篭もりだけなんて揶揄が罷り通っていたら、誰だって夜しか利用しませんよ。

 今日は前回の続き。
 このBlogはあくまでもTRPGが生活の中で両立できている人のためのBlogです。
 
◆◆◆

 防御判定によって1人1キャラの戦闘ゲームはようやくバランスが取れ始めてきました。だが、バランスが取れたことにより今度は設定の中から非合理的な存在が生まれ、ゲームとしてムダが出てき始めてきました。

 それは「駒」の重要性です。

 TRPGの戦闘システムは攻撃判定vs防御判定のダイスバトルが基調ですが、ユニットの戦闘能力を表現するために実力を数値修正にて補正しています。
 これによって、数値修正およびダイス目による達成値で防御判定の最低値を上回れないユニットが打撃を与えることが不可能になりました。これはクリティカル・ファンブルによる無条件成功・失敗の要素が発明されることにより完全ではなくなりましたが、仮に攻撃が成功しても圧倒的な数値修正差がつくほどの相手ともなればACやHPも総体的に高く、十分なダメージを与えられないのが実情です。

 こうなると、モンスター側はいくら数を揃えても「叶わない相手には徹底的に叶わない」ことになります。何百とゴブリンを揃えても、高レベルPC相手に一撃を与えることすらできません。
 DM側は果てしない徒労を強いられ、プレイヤー側は退屈な虱潰しになるわけで、この時点で「弱敵」の存在がいらなくなるのです。

 防御判定と数値修正によって、もはやTRPGでは頭数は戦力たりえない要素になったのです。「守るべき存在のいる侍と雑魚1万、どっちが強い」という問いに侍だと即答できるという『天羅万象』のデザインコンセプトは別に突飛な発想ではなく、『D&D』の時代からあるTRPG戦闘システムの極端な結論でもあったのです。

 こうして、TRPGではプレイヤー側と同等以上の数値修正を有したモンスターとの戦闘が伯仲することが判明したのです。各レベルごとに互角だとランク付けされたモンスターか、用意されたPCと同じレベルのNPCが自然に伯仲する相手となります。

 互角の戦力同士になって、ようやくTRPGはバトルゲームとしてバランスが取れたかに見えましたが、ここでまた不合理が発生したのです。

 それは「DMが勝つ」ことの重要性です。

 数値修正的に互角の敵を揃えてもプレイヤー側は戦力の集中と各個撃退によって、戦力を削ってくることが可能です。対するDM側はそうした戦術を多用することはアンフェアとされ、極力無軌道に行動することが求められています。
 これは増援という形で新たに戦力を増強できる立場のDMへの抑止効果もありますが、何よりもプレイヤー側が不利な状況に立たされることによるプレイヤーの士気低下が、思った以上に深刻な悪影響を与えることが分かったからです。
 TRPGではモンスター側の勝利が、複数いるプレイヤーに不幸な虚脱感しか与えなかったのです。

 ゲームならば娯楽として最大多数の幸福が実現したほうが安泰なのですが、戦闘ゲームへと一歩微視的な立場で楽しむTRPGではPCの保持以上の大局的な楽しみを提示しづらく、より多くの遊び手を楽しませるには複数いるプレイヤー側がキャラを保全しやすい立場にあるのが道理になります。
 すなわち、DMが1人負け役を引き受けることが、多くの遊び手が楽しめるためには必要だったのです。そのためにTRPGではモンスターはあくまでも非知性的であって、DMはあくまでもプレイヤーの楽しみを引き立てるために戦術を多用してはならないというマナーが次々と提唱され、不文律として成立しています。

 かくしてTRPGはより多くの遊び手を幸福にするために、戦闘ゲームからPCの活躍ぶりを演出する出来レースへと変貌することになったのです。もはや戦闘は伯仲はするが最終的にはプレイヤー勝利へと流れていくのが最も妥当な方向になりました。
 
 もちろん、これではゲームとしての楽しさが大きくレイムダックしてしまいます。いくら多数の幸福のためとは言え、勝者と敗者の数的バランスが取れてこそよきゲームとなります。多数でDM1人に勝っても大した優越感は得られないのです。
 多数のプレイヤーと1人のDMという圧倒的な人数差の中で、勝者敗者のバランスを取るためにはどうすればいいのか…。
 それは次回。
ラベル:TRPG
posted by 回転翼 at 09:01 | TrackBack(0) | TRPG雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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