2008年12月15日

賢狼さんのご機嫌取りにかかる経費 〜パラディンでも飲める飲料・リンゴジュース編〜

 『D&D4e』を一読しましたけど、やっぱりプレイしないことには何とも感想言えません。とみにウォーロードに関してもっと情報がほしい所。21日のHJCONで色々聞いてこないと…。

 今日はパラディンでも飲める飲物第一弾。

◆◆◆

 《禁酒の誓い》を立ててアルコール、麻薬、カフェインを絶った高貴なるパラディンとその仲間たち…。中世ヨーロッパ文化に近いファンタジーの世界では気候の問題、衛生面の問題、生活習慣の問題などで中々パラディンが飲めるソフトドリンクがないことに一堂は焦りを感じていた…。

▲「そうそう。『ウォーハンマーRPG』のサプリ、『オールド・ワールドの武器庫』では牛乳が1パイント2ペニーで売ってたよ」
●「ちょっと待て。あのゲームはそこいらにあるお嬢ちゃんがパンツじゃないから大丈夫と冒険に出れるライトファンタジーじゃないぞ。不衛生な中世欧州をこってり再現してるぞ」

 ちなみにこう注釈があります。

深酒した翌朝は、ちょっぴり腐った牛乳でいがらっぽい喉を潤そう。ミルクは長期保存する手段がないため、とても大胆な台所には腐ったミルクがたくさんある。
『オールド・ワールドの武器庫』より


●「さすがWH。期待を裏切らん」
▲「やはりこれがリアル中世なんだろうね」

 ファンタジー世界はアルプス以北の西岸海洋性気候帯なので柑橘類などの温帯植物は自然栽培が難しく、飲料にするほど出回っていないと考えられます。
 だが、逆を考えればアルプス以北で栽培されている果物なら十分出回っているのではないでしょうか。

ぐるなび海外版 - ドイツ特集 - ドイツグルメなるほど図鑑

DM「上述のWebサイトを見ると、イチゴや木苺、スグリやラズベリー、ブルーベリーなどのベリー類、サクランボにスモモやアンズ、洋梨にリンゴ辺りがアルプス以北でも育つ果物のようだね」
●「なんだ。以外とあるじゃん」
▲「ブドウは? ありそうなイメージだけど」
DM「ブドウは微妙なところ。ドイツは特別なのだよ」

 ブドウの北限はベルリンが位置する北緯53度(サハリンとほぼ同緯度)辺りだが、ドイツはメキシコ湾流の影響で年間平均気温がイタリア・トスカーナ地方と同じ10度前後という緯度からすれば温暖な気候であることによりブドウ栽培が可能になっています。
 メキシコ湾流の影響が少ないのかフランス・ノルマンディー地方やイギリスではワインの生産はほとんど行われず、代わりにリンゴ酒が普及していました。

DM「今日はその中でもリンゴ。ファンタジーの世界でも一番ポピュラーであろうリンゴを少し特集する」
▲「おお。ようやくファンタジーでも無理なく出せるソフトドリンクが登場するのか」
パ「うむ。ではさっそくながらリンゴジュースをいただこう」

DM「では給仕の娘さんは少々お時間をいただきたいと言って店の奥へと行った。しばらくすると店主の親父さんが出てきて、ジュース作りの道具を出すから手伝ってくれと言い出してきた」
●「ジュース作りの道具?」
DM「うむ。文章で説明するよりようつべで見た方がいいだろ」



●「なんか大掛かりだぞ!」
DM「いや、これが由緒正しきアップルジュース搾り機だ。実際はもう少し原始的だろうけど、大体こんな感じだね」

 コーカサス地方が原産のリンゴは紀元前から欧州に伝播しており、古代ローマではすでに接木による品種改良も行われていました。
 リンゴジュースは英米ではアップルサイダー、ドイツではアプフェルザフトと呼ばれています。もちろん、時間が経てば糖分がアルコール化し、瓶詰めして保存すれば発酵して炭酸ガスが発生して日本でもお馴染みのリンゴ酒・シードルになります。

▲「すっごい手間かかってるねぇ」
DM「そりゃあ殺菌も保存技術もない時代だもん。おそらく収穫後に村総出でリンゴを搾ってリンゴ酒やリンゴ酢を作ってたんだと思うよ。ドイツだと1年中収穫できるそうだけど、新鮮なリンゴが手に入らない場合はリンゴ酢を水で割って飲めばいいと思うよ」
●「向こうでお酢飲む習慣ってあるの?」
DM「そこまでは分からないね」

 ところで、リンゴと云えば『狼と香辛料』。賢狼ホロさんの大好物でもあります。第1巻では第3幕にてホロが町辻の露天に並ぶリンゴをねだるシーンがありますが、具体的なリンゴの描写はされていません。ただ、文倉十氏の挿絵やアニメを見る限りは日本で売られている直径10cm前後の真っ赤なリンゴです。

 『狼と香辛料』の世界はジャガイモが出回っているので大航海時代以降、ジャガイモ普及に努めたフリードリヒ大王(1740〜1786年在位)の御世、18世紀ぐらいがモチーフであると推測するとして、その時代に挿絵やアニメのようなリンゴをホロさんが入手できたかという問題があります。

 結論を申せば、当時のリンゴはもっと小ぶりなリンゴではなかったかと思います。

 今でもヨーロッパで売られているリンゴは日本のより小ぶりな200〜250g、直径6〜7cmのものが主流です。これは日本では実すぐり(摘果)と呼ばれる、1つの果実に栄養を集中させるべく余分な実を間引く作業を欧州ではしていないからだと考えられます。
 日本ではリンゴは生食が主体で、果物自体の価値も贈答品として用いられる程度に高いものがあります。したがって大きくて甘味が強く、赤の見栄えのよいリンゴが作られてきました。これに対して、リンゴ酒や酢、ジュースやリンゴ料理など加工品の需要が多い欧州ではリンゴはより身近な食材であり、数多く収穫する方を選ぶのでしょう。

 リンゴは品種改良が絶えなく行われている作物なので、当時のままの品種が今に伝わっている例は多くありません。
 例外として、ニュートンの逸話で有名な“ケントの花”と呼ばれる品種はその逸話から記念樹として今も残っています。参考Webサイトによれば、この品種は枝に実っている段階では渋くて食用に適さないが、熟すと自然に落下し、さらに完熟させることによって甘味が出るとのことです。

 “ケントの花”も200〜250g。文中でもホロさんは北の果物は固くて渋く、干したり寝かしたりしないと食べられないと言っている(第1巻112p)ので、おそらくホロさんが食べているリンゴも“ケントの花”に似た品種であろうと考えられます。

▼参考Webサイト
ケントの花 ニュートンのりんご

●「すると賢狼さんは“ふじ”の味を知らないってことになりますな」
DM「知ったらどうなるんかね。少なくとも僕は100円ショップのリンゴは食べる気にならない。どれだけセリブだよと言われても青果店で売られているのを買いたいね」
▲「いや、100円ショップの方が高いだろ」
DM「全国的な相場はともかく10個500円だからね」
パ「まめに皮を剥ける人じゃないと拷問に等しい数だけどな」

DM「ところで肝心のお値段なのだが、『武器・装備ガイド』ではリンゴ1ポンドで1gpとある。1ポンドが約0.45kgで、リンゴ1個が200〜250gとすると…」
●「…2個がいいところだな」
▲「ジャベリン1本と同じ値段だね」
DM「んで、リンゴ1個から取れる果汁は“むつ”で80〜100ccとされている。当時の小ぶりなリンゴだとまぁ60〜80ccぐらいだと思うから、約70ccで1杯1パイント(約450cc)分取るとなると…」
●「7個か8個必要だな」
▲「1杯4gpか…。ライト・ピック1本分のお値段」
パ「つーか、1レベルのモンクやレンジャーだと開始時の所持金が吹っ飛ぶお値段だなぁ。4d4gpだし…」
●「コーヒー1杯だって推定2spなんだし、どんだけセレブな飲物なんだよ」
パ「やっぱ賢狼さんを養うのは大変だな。抱き枕で勘弁しとくよ」
●「おまwwww それが高貴なるパラディンの選択かよ」
パ「高貴なパラディンだから30レベルまで童貞だって恥ずかしくないもんっ

posted by 回転翼 at 09:01 | TrackBack(0) | TRPG雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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