2006年01月26日

緑の騎士が訪れたなら 〜TRPGの共同幻想〜

 ただ今、Pendragon 5thを少しずつ読んでいます。
 3rdにはなかった格闘戦が存在したり、女性騎士の作り方などがあったりして結構難儀してます。2月にはセッションを催す予定なので、それまでには大体のイメージは掴んでおかないと。

 実はPendragonは初GM。
 参考になるかとWhite Wolf社のHP掲載のショートシナリオを読んでみたけど……少し違うかなという感じがしました。いわゆる一本道シナリオなんですけど、これを例えば僕がGMしたとして、Pendragonの醍醐味を出せるかなという疑問があります。

 これがアメリカなら、アーサー王物語を追体験できるだけで満足いくプレイが期待できます。だが、日本のプレイヤーにはアメリカ人ほどにはアーサー王物語もケルトの民族伝承も浸透していません。これはゲーム世界への「共同幻想」が十分に発揮できないことを示唆します。
 例えば、旅先で知り合った騎士がガウェインだったらPLは「おおっ」と歓声を上げるかもしれません。だが、PCの騎士たちの居城に緑色の服を着た男が現れて、「これから首切り競技をしよう。この斧で私の首を刎ねたまえ。ただし、その一年後に今度は私がお主の首を刎ねる」などと宣告したとしたら、PLたちは同じように歓声を上げるでしょうか。
 たぶん、呆然とした後気味悪がるだけでしょうね。

 緑の男云々は、『ガウェインと緑の騎士』という文献の中にあるエピソードで、Pendragon 4thの出版社がGreen Knight社である通り、アーサー王通には有名な物語だそうです。
 だが、さほどアーサー王通ではない僕はつい最近まで知りませんでした。おそらく徒手空拳でプレイに臨んでいるであろう普通のゲーマーの関心の低さはそれ以上でしょう。

 共同幻想って言葉を出しましたけど、TRPGにおいてゲーム世界の魅力を引き出すには遊び手全員の共同幻想が不可欠なのでは最近思うんですよ。緑の騎士のエピソードにしても、アーサー王伝説やケルトの民間伝承に通じていれば、「緑の男」「斧」「首切り競技」というキーワードを聞いただけで萌えてくるものです。そうした追体験のキーワード……イベントフラグではなく、「アーサー王物っぽい」とか「ケルトっぽい」情景や仕草を読み取って、遊び手が一体になってゲーム世界に感情移入するってのがTRPGの共同幻想なのではないのでしょうか。

 Pendragonでは少しイメージ弱いとするならば、例えば『トーキョーN◎VA The Detonation』で「事件現場に残された赤い弾丸」というキーワードから「この事件はマーダー・インク絡みか?」となりますね。ここでN◎VA幻想のある人なら、有名組織と絡めることに萌えるものを感じますが、N◎VA幻想のない人にとっては物騒な暗殺結社と関わるなんてご免だと感じるでしょう。
 幻想ってのはリスクを楽しむって所もありますから、もし「マーダー・インクの腕利きと対決する自PC」って幻想を構築できる人なら冒険のスリルに挑むかもしれません。だが、幻想ができないPLの場合、一介の庶民に過ぎないPL本人の世界から抜け出せず、本能的に冒険を避けてしまうかもしれません。
 N◎VAに限らずサイバーパンク物ってのは物騒な喧嘩文句が多いから、怯えて何もできない人ってのが結構いました。女の子に人気がないってのも、女の子はハードボイルドなんかはなかなか読んでいないから、その世界観に萌える幻想がないんですよね。

 今までTRPGで知識を研鑽する意味ってのがどうにも曖昧で、衒学趣味などの表立ったトラブルを通して懐疑的な立場であった僕でしたが、ゲーム世界を構築する共同幻想を作るためとすれば、その効能は1つ具体的になるかもしれません。

 だけど、幻想を個人レベルで発揮させようとすると他者の幻想との衝突が発生するし、みんなが幻想していない中1人幻想していればアブない妄想と捉われるし。それ以上に、自分1人の幻想に凝り固まって他者を攻撃でもし出したら、それこそ害虫の所業です。
 
 FEAR社のゲームを「萌えキャラ品評会」と評したことある僕ですけど、個人の孤立した幻想から来るトラブルを回避するために、幻想を生み出す装置をシステムに搭載しているのかもしれないって感じもします。何か「私がこのキャラにこういうイメージを抱くのは、システム的に合理性あることだからなのよ」てな感じで。

 現在のTRPGは事前の知的研鑽によって幻想している人が参加するという形式です。だから傍から見れば陳腐なシナリオであっても満足がいきます。だが、必ずしも遊び手が望んだ形で幻想してくれないのが現実で、冷めた素の状態のまま参加する人や過剰で独りよがりな妄想に発展してしまう人もいて、ゲーマーに丸投げという形式ではうまくいかないようです。
 もし共同幻想をTRPGにとって不可欠なものだとするならば、集団的なイメージトレーニングがTRPGのプレイの中で必要なのかもしれません。
 
posted by 回転翼 at 09:01 | TrackBack(1) | TRPG雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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Tracked: 2006-01-26 14:28
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