2006年10月03日

クラウザー2世は1万人に1人、根岸クンは100人に1人 〜ロールプレイとのろけ話の違い〜

 『デトロイト・メタル・シティ』を読了。
 確かに面白いけど、TRPGに関わる身としては皮肉に映る側面もあります。

 この漫画の主人公、クラウザー2世こと根岸クンは「2つの顔を持つ男」です。
 しかし、通常は異常性、潜在意識が露出した「変身した姿」であるはずのクラウザー2世がパンク的にはまっとうな(女性蔑視、反社会的、グロテスク、悪魔的などのパンクでの「王道」を往く)人物なのに対して、本来なら良心や社会性などを象徴する役割があるはずの正体である根岸クンがどうしようもなく深みがない不器用な小人物で、むしろピエロとして読者からは特異な存在になっています。

 「好きこそものの上手なれ」なんて諺がありますけど、根岸クンの場合はオサレな世界に憧れるがばかりに、その世界の中で光明を放つほどのアクの強さが持てないでいる。聞く人にとって根岸クンは自分の憧れに「のろけている」としか見えないわけです。
 それに気付けない根岸クンは、なぜ受けないのか反省も理解もすることなく、欲求不満は怨み節となり、別の世界で発揮されることになります。クラウザー2世の時、彼は自己の才能に確かなリスペクトを受けるのです。

 なぜこれが皮肉かと云えば、TRPGの世界にもこういう人いるからです。
 
 何かに取り憑かれた顔で、「エルフの女なんかみんな犯して殺してドブに投げ捨てたるわ〜!!」などと叫んでPKしたり、「善良なNPCは死んだNPCだけだ」と吠えてテロったり、TRPGの場でイドを大爆発させるロールプレイの狂奔者が1万人に1人ぐらいはいます。

 ……いや、そうではなくて。

 何かに魅入られたような顔で、「僕のキャラはちょっとツンデレなエルフの女の子で侵略者と戦う魔法剣士です」などと呟いて萌えたり、「ここで洋服屋に飾ってあるオサレなドレスに魅入って、『へぇ〜、お前にも可愛いとこがあるんだな』と言われて『バッ…ハカ! そんなんじゃないわよ』とデレます」などと吠えてスベったり、TRPGの場でのろけを大爆発させるロールプレイの狂奔者が100人に1人ぐらいはいます。

 哀れです。
 リアル根岸クン見るのは。

 TRPGの場合、どんなイカれたキャラを作っても卓の仲間に受け入れられれば無問題です。それでプレイ後帰宅して熱が冷めてもいいセッションだったな思われるようなら、イカれたキャラは伝説となります。
 ……後から、「思い返せばアイツのキャラは滅茶苦茶だ」となっても、それは僕のようなBlog書きには美味しくいただける「アクセス数を稼げる困ったちゃん話」のネタとなるわけで、それはそれでいいものです。

 問題なのは、プレイ時にも受けない完全にスベったロールプレイです。
 
 1万人に1人の方はTRPGの初等教育を受けていないバカです。PKするってのは他のプレイヤーに退場を要求するも一緒ですから、それを無自覚でやってるとしたら世間知らずの坊やだし、意識してやってるとしたら反社会的分子です。
 トイレに連れ込んで便器に顔を押し付けて反省を促すのがいいかと思いますけど、穏当に強力モンスターでPKKするのがお慈悲というものでしょうか。怒って後々ネットで暴れまくるでしょうから、2ちゃんのVIPな先生方にお任せするとしましょう。

 一方、100人に1人の方は本当にリアル根岸クンで、ロールプレイが萌えキャラへのおのろけになっている点がスベる原因です。のろけ話が聞くに堪えないのは自慢話と同じくどこでも一緒。
 一般にのろけ話、自慢話の類は話が自己完結していることが多く、他の人が興味をひくべき「釣り」がありません。テレビの司会でもよく「……」とか回答されない問いかけをするタレントがいますけど、大抵が質問者の方が回答を自己完結してたりして、ハァとかウンとかしか答えようのない問いかけをしたりするものです。それと同じことをやってるわけです。

 自己完結した話などに会話が続くわけなく、決まってトークストッパーになってしまいます。話が終わった時点で対話するべき卓の仲間全員が話の蚊帳の外だというのなら、どうやって応答すればいいのでしょう。

 のろけ話をロールプレイと勘違いした人への対応は冷たいもので、まず冷たくあしらわれます。そのキャラに対する親近感は大幅に下落し、セッションが終わったらこっそりロイスは抹消されます。
 シビアな卓ともなれば、なるべく彼彼女ののろけを殺すよう殺すよう、ロールプレイする余裕を奪う方に誘導するでしょう。
 
 それで「僕の愛が理解されなかった」と落ち込むのはいい経験でしょうけど、それで根岸クンのように逃げ込むハレの場があるかと云えば、そのハレの場を同じTRPGに持ち込まれては迷惑というもの。
 「ツンデレなエルフの魔法剣士」でスベったから、次は「俺はエルフとか魔法剣士とかツンデレなんかはみんな犯して殺してるんじゃ〜!」では道を踏み外しただけです。

 トイレの水の味を知る前に、まずはロールプレイとおのろけの違いを肝に命じ、他の参加者が好意的に応対できるいじりがいのあるキャラメイクを思索なされてはどうでしょうか。


posted by 回転翼 at 09:01 | TrackBack(0) | TRPG雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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