2007年07月17日

いつ、どんな段階でどのシステムを学ぶか 〜TRPGのルール習得の段階〜

 TRPGはアナログゲームですから、ルールのすべてを人の手で使わなくてはなりません。最近のCRPG攻略本ほどではないけど、ゲームの設定資料集程度はある分厚いルールブックを読み解く必要をプレイヤーに求めています。
 実際には、何かゲームが出れば持ちゲームとしようとする人がまず把握し、その人がGMとして教導役をしてくれるわけで、TRPGの基本的な流れを知っている人なら問題なくプレイできるわけです。
 だから、好きなゲームでもルールをよく把握していないプレイヤーってのがTRPGでは当たり前になっています。コンシューマーで云えば「ぬるゲーマー」に相当する人たちですけど、TRPGはゲームの良し悪し以前に遊び手の良し悪しにゲームの面白さがにじみ出る性向がありますから、いい仲間と適度に練られたシナリオがあればいいプレイと見なされます。  
 
 それでは、TRPGは特にルールを覚える必要のないゲームかと云えば、それは違います。TRPGは経験を積むほど「やりたい事」が増えるわけで、それを叶えるために自ずとシステムを研究するようになります。
 今日は「いつの段階からTRPGゲーマーはルールを覚えようとするか」です。

◆◆◆

 まずは上達段階レベルから見たゲームへの興味具合です。TRPGの遊び手はどの段階でどんなことに興味を示し、熱心に活動するのか考えてみました。
 僕の考えでは、ざっとこんなものです。

Lv1(入門者):TRPGの基本的な流れ
Lv2(初級者):物語に参加し、自己の創作物を披露する
Lv3(中級者):該当TRPGで達人的なキャラ作成、ゲームプレイをする
Lv4(上級者):物語の完成度を高める
Lv5(伝道者):TRPGで味わった楽しみを伝道する

 TRPGで本格的にルールを覚えようとするのは「Lv3:ゲームを共にする仲間への集団帰属の欲求」を求める中級者以降であると僕は考えます。
 Lv2とLv3との間にある遊び手の意識の変化として、TRPGの社会化があります。Lv2の段階ではまだTRPGは「自分のやりたいことをやりたい」という個人的欲求を叶えるための道具です。だが、Lv3になる遊び手はパーティを組む仲間との連帯意識が芽生え、仲間やGMとの調和を重んじたチームプレイの楽しさを求めるようになります。
 そうなると、「チームのために役立ちたい」とか「チームの中で確固たる重要性が欲しい」という意識が働き、そのためにそれまでは自己表現の履歴書に過ぎなかったキャラクターを他者から評価を受けるべく、該当ゲームで有能なキャラにすべく強化していくようになります。
 
 逆に、「Lv2:ゲームの参加者として楽しみを享受する欲求」の段階では、システムを覚えようという意識はLv1から上達した段階からひとまず停滞します。
 この時期はむしろロールプレイに関する演技や表現、シナリオを読み解く物語の技術、パーティでの和の取り方など、パーティゲームとしてのコミュニケーションや自己表現といったシステム以外の要素に比重が行くからです。

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 次に、melmma!時代に示したTRPGシステム要素の概略図から、どの段階でとのシステムを覚えていくのか見ていきましょう。すでにmelma!時代のコラムは消えてるかもしれませんから、ここで概略図を再掲載します。

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◆RPGを構成するシステム要素

 TRPGは基本的に、「基幹システム」、「状況再現ルール・設定」「世界観設定」の3種によって構成されている。


【基幹システム】:ゲームを運営する最低限のシステム。ゲーム中に誰もが行う行動を判定する「一般判定システム」や、誰もが、「どんなゲームでも変わらぬ醍醐味」だと認識している要素に関する「基本状況再現ルール」の2つが基幹システムの中身である。なお、「基本状況再現ルール」のもっともたる具体例は戦闘システムである。

【状況再現ルール・設定】:そのゲームの世界観によって起こりえる(他のゲームでは発生しない)様々な特色ある状況を再現するためのシステムやお約束。『クトゥルフの呼び声』での正気度とか、『スペオペヒーローズ』のヒーローポイントなど、ゲームの特色を再現するルールが多く、他のゲームに持ち込める互換性に乏しい。

【世界観設定】:シナリオを構築するための資料。多くの場合、基幹システムとは別箇に製作されている。状況再現システムを作る思想基盤となっていることが多いが、逆に際立った特色のないRPGでは状況再現ルールも少ないだけに淡白な作りになることもある。

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 TRPGシステムは要約するとこの3種に分類できます。

 すべてのプレイヤーがまず覚えるのは、「基幹システム」のうち、「一般判定システム」です。一般判定システムはTRPGで使用するダイス・トランプといったランダム発生要素……コンシューマーにとってのジョイスティックの使い方を体現したシステムです。これを覚えなくては、TRPGをプレイしているという感覚が湧きません。

 「基幹システム」のうち、「基本状況再現ルール」はLv1〜Lv3までの間に習得していきます。例えば戦闘の場合、Lv1はコマンドを明言する状況判断を、Lv2は「見せ場」の中でいかに自己をアピールするかという自己にとっての有効手を、Lv3はチームプレイの中での有効手を習得し、ようやく完成します。

 「状況再現ルール・設定」は「これを使えばゲームで数値的有利が得られるルール」と、「これを使えばゲームに活気が出たり、楽しみが増えるルール」の2種類あります。前者はLv2〜Lv3、後者はLv3〜Lv4が習得します。
 後者の方は『クトゥルフの呼び声』の正気度のように、win-loseのゲーム上では不利に働くシステムなのに、happy-unhappyの関係ではloseになった方がhappyになる反比例した性質のシステムです。こういったシステムは悲劇を題材にした物語を扱った、win-loseを第一目的としない物語再現装置の色が強いゲームにTRPGなどに使用されます。

 最後の「世界観設定」は少し特異なシステムで、ゲームで行使するならLv43〜Lv5といった上級者、伝道者が覚え、その使用用途のほとんどがGM技術です。だが、TRPG入門者がまず興味を示すシステムがこの世界観設定なのです。
 世界観設定はここではシステムの一部としていますが、大抵が設定資料であり読み物です。ともすれば付属品として軽視される要素ですが、一番の役割はゲームプレイ以前にある「ゲームを楽しもうとするモチベーション」を作成する道具であり、コンシューマーゲームと違って「操作感」に乏しい……基幹システムの単純行為にさほど肉体的快感を得られないTRPGに「魅力」という精神的快感を与える重要なシステムであると僕は考えています。

◆◆◆

 ここまで、遊び手の欲求段階やTRPGシステムの役割から、習得の具合を論じてきました。
 だが実の所、いかなる上級者、伝道者であろうとTRPGのシステムを完全に覚える必要というのはないのかもしれません。なぜなら、TRPGは複数の遊び手が助け合いながらプレイするものですし、最終的にはパーティの総体として「どんな楽しみ方がしたいのか」という点のみに絞ったシステムのみ機能していればいいのです。
 
 本当の意味で、システムのすべてを諳んじる必要があるのは、せいぜいデザイナー側にいるデバッガー程度のものでしょう。
タグ:TRPG
posted by 回転翼 at 01:28 | TrackBack(3) | TRPG雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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