2007年10月02日

「自由」と「何やってもよい」の間は「=」か「≠」か

 鏡氏の論考を考察したいと思ったのですが、なかなかまとまらないまま気が付けば10月に入ってしまいました。9月後半は原稿を書いては破棄する連続でした。申し訳ありませんでした。
 今日は「自由」と「何をやってもよい」は違うのかという話。

 この問題の提議者であろう鏡氏曰く、TRPGにおける自由とは、ゲーム参加者が皆、「私はこうしたい、こうすべきだ、こうしよう」といった「自分の決断」によってゲームプレイに関与し、それがそのまま過程や結果に活かされることだとしています。
 僕の頭では、まだこの定義では「自由」が「何をやってもよい」に置き換わっても意味が変わらないように映ります。両者は鏡氏の中では同じ意味なのでしょうか?

 鏡氏の定義は僕の捉えた所、「自分の決断によってゲームプレイに関与し」、「それが過程や結果に活かされる」と、意志決定と結果を連結しているのが少し問題ありかと存じます。なぜなら、ゲームプレイに関与した自己決断が、素直に過程や結果に活かされるとは限らないからであり、TRPGにおいては「判定」という関門を突破できた者のみが決断を採用される仕組みを取っています。判定に挑むための条件として「技能」や「必要能力値」を指定するTRPGも多くあります。
 これら、「判定」「技能」「必要能力値」はすべてゲームデザイナーの決断に基づいて設計されたものであり、鏡氏の論法を借りればデザイナーの「自由」なのです。プレイヤーが「自分の決断を過程や結果に活かしてほしい」と願い口にするのはプレイヤーの「自由」であるが、それが実現するかどうか決めるのは判定を作ったデザイナーの自由。鏡氏が定義した「自由」には2人の立場の違う人間の「自由」が混在しており、いささかの矛盾が生じているのです。
 この説明を読む人の大抵がプレイヤーの立場から一方的に受け取るでしょうけど、まさかそこに「デザイナーの俺にも自由があるんだぜ。そこんとこ弁えろよな」というメッセージが入っているとは到底読み取れるかどうか……、それは難しいでしょう。読み取れなかった人は当然ながら、結果も無条件・無審査で思いのままと思い込むでしょう。

 もちろん、鏡氏がその矛盾に気付いていないとは限らず……いや、十分心得ているでしょうけど、単にうまい表現ができなかっただけかもしれません。あるいは僕の理解力不足もあるわけで。

 機会平等と結果平等が全く異なるのと同様の理屈でしょう。
 求めるべきは機会平等なれど、欲しがるのは結果の平等。誰もが同じ額の分だけ働ける社会を訴えども、民が求めるのはただ同じ額をくれ。怠けようが手抜きしようがこっちの勝手じゃい……。

 結局、複数の立場・役割の違う人間が共存できる「自由」は各個人にとって有限であり、お互いの決断に領域を決めて住み分け、調和を保つしか保てないということでしょうか。
 互いが自由でなければ真の自由はない。片方が自由で、もう片方が片割れの自由のために不自由(自己決断の放棄)であるならば、自由な方は己を自由を叶えるべく決断なき不自由な者を管理しなければならず、自由なき管理者とならざるを得ない。
 独裁者は独裁をする不自由から逃れられないのです。

 それを踏まえると、「自由なTRPG」は互いの自由が活かし合える調和の状態のためなら、各個人の自由は有限かつ領域分けされたものになるTRPGでありましょう。
 これに対して、「何をやってもよいTRPG」は調和のリミッターが解除され、弱肉強食の中で力ある者が独裁権を得るれっきとした管理型TRPGとなるでしょう。

 ここでようやく、自由≠何をやってもよいとなったでしょうか。

 自由を尊んで得られるのは調和。調和の中でみんなの自由。
 何をやってもよいで得られるのは独裁権。独裁スイッチで俺様の思いのまま。
 そのスタンスの違いによる誤解をなくすために、自由なTRPGを説明する際には「何をやってもよい」TRPGに期待されるエゴの限定解除という要素をきっぱり否定したが上での説明が必要となるかもしれません。
 

 
タグ:TRPG
posted by 回転翼 at 09:01 | TrackBack(2) | TRPG雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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「結果の自由」ではなく「行動の自由」
Excerpt: 回転翼さんからトラックバックをいただきました。大変良いご指摘に感謝します。
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Tracked: 2007-10-02 20:52

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