2005年08月28日

続・嘆きの碩学世代

 JGCにも卓上RPG研究会にもいかず何してたかと言われれば、某所で阿波踊り。
 しかも踊るアホウの方。僕はTRPGバカではないので。
 ただのバカかと言われると、否定はするけど実際はどうなんでしょ。
 随分バカを見ているのは確実なのだけど。

◆◆◆

 「TRPGで頭がよくなるか」という本来なら長期の統計が必要な公案。
 はっきり分かったのは、多くの人が「そうであってほしい」と願っているってこと。
 実際に確証ができるはずないので、結局の所は「状況判断、意志決定を養うことにより洞察力がつく」とか「ロールプレイによりコミュニケーション技術が上がる」とか、当人の願望が信念と化しての主張をするわけです。
 そんなもの、おもいっきりTVの地方食材コーナーで「……の健康効果が期待できます」という程度のものでしかないでしょ。

 この問題、僕はあまり大きくなってほしくないです。
 なぜなら洞察力、判断力、意志力、交渉技術……そういったプレイヤー本人の才能・資質を問う問題に発展しかねないからです。言ってしまえば、TRPGでのプレイの良し悪し次第でプレイヤー本人の頭のよさが問われてもいい環境を助長することになる。
 それはすなわち、TRPGの世界に秀才とバカという区別を生むことになります。
 
 秀才が慢心してエリートだと思い込み、持たざる者を侮蔑する。
 僕にとって、そういう連中はTRPG業界にとって永遠の敵だと認識しています。
 TRPG業界とて、遊び手本人の才能を問う業界になったりしたらそんな鼻持ちならないエリートを生むことは間違いありません。僕個人の経験からすれば、そんな連中は実在していましたし、現にバカにされてきたことを何度かこのBlogにて告白してきました。

 なまじ大学生が多い業界だけにTRPGを「知的遊戯」だと称して、そんじょそこらのゲームにはない高等な見識と経験が発揮されるゲームだと嘯くゲーマーは多いです。だが、裏返せばヲタク業界との接点の良さに対する恐怖心……人一倍ヲタクに対する差別意識が見え隠れします。

 ヲタクばかりと思われるTRPG業界ですけど、僕が見る限りそれは違うと思います。
 むしろ80年代から続くファッショナブルな知識人の気質によく似ています。碩学なのがかっこよくて、流麗に知識を披露する姿にとってもシビレて、議論に打ち込むことを高貴な大人の嗜みだと思っている。
 そういう知識人志向の大学生・大学院生・大学ウン年生がこの業界にはあまりに多い。
 彼らがアカデミックなワークとしてTRPGを捉えてもなんら不思議はない。『D&D』のアーンソンも、『ウィザードリィ』のウッドヘッドやグリンバーグも大学在籍中にそれらの作品開発に携っています。「TRPGは大学で作られる」と考える人がいたっていいはずです。

 ちなみに、僕はガイギャックスも大学生の頃に『D&D』製作したと教えられたものです。
 大ウソつき〜。

 つーか、週に……プリキュアMaxHeart、エウレカセブン、D.C.S.S.、ぱにぽにだっしゅ、アクエリオン、ガンソード、エレメンタルジェレイド、BLEACH、バジリスク、攻殻機動隊、かみちゅ!、涼風、極上生徒会、タイドラインブルー、ハチミツとクローバー、ぺとぺとさん、苺ましまろ、スピードグラファー、ケロロ軍曹、ふたご姫、ツバサクロニクル……を観ている(これでも、週にやってる全アニメの何作かは観てないんですよ)身の上をTRPGの打ち上げで語るとみんな信じられないって顔するんですよ。
 ほとんどが録画ばかりでじっくり観る機会ないですけど。
 せめて1つぐらいは知ってなさいよ。

 いや、僕だって根底には中学の頃ガンダム論争で湧いていた(メンバーのほとんどが現役SFヲタorロボットアニメヲタ)サークルで居場所のない思いしたことがトラウマとしてありますけどね。中学の友人はみんなファミコンと野球の話題ばかりで次元が違うし、それに当時は家でチャンネルの主導権がなかったもんだから、夕方観ていたのは『特攻野郎Aチーム』『ナイトライダー』『冒険野郎マクガイバー』でした。

 あっ、最後のマクガイバーはTRPGゲーマー必見だと思います。科学知識そのものが結構いい加減ですので、こっちのツッコミから正しい現代物TRPGでの科学知識を論争した方が、一年戦争やエヴァの解釈論争などするよりずっと有益だって。

 話をもとに戻します。
 
 結局言いたいのは、「TRPGで頭がよくなる」などということにお熱を上げる人が多いのは、もともと頭のよさを気にする身の上の人がTRPGに参入するケースが多いからだということです。インテリが好みやすいゲームだと言いたいんです。
 そういう人たちにとってTRPGは教養の一端として捉える性質があるように思えます。
 TRPGを嗜むことは、自分の賢さの一端を示すことだと思っているのでしょう。TRPGとバカが結びつくことをどうしても嫌う。

 バカと一緒にTRPGをやりたくないわけだ。ヲタクとやりたくないのと同様に。
 それ以上に、バカでも勉強して経験を積めば熟練ゲーマーになれる環境にどうしても我慢がならない。叩き上げと同列はご免だ。ベテランよりエリートが尊ばれるべきだ……。

 強烈なケガレ意識と呼ぶほかないです。
 そろそろ、「自分たちのやってることはヲタク趣味ではないか」などと不安を口にするゲーマーたちの本性を露にしないといけません。その性根が知識人コンプレックスにあり、自分たちは高等な趣味を持っているのだと思い込みたい上昇志向があったとしたら、もう憐れんでやる必要もないです。
 とっとと辞めていってもらいましょう。
 
 彼らが辞めた程度でTRPG業界が壊滅するなんてことは絶対ないです。
 彼らの方は、やはり個別のゲーム感覚の陥穽にどっぷりハマっていて、自己の限界=TRPGの限界などと勘違いして、自分が主張しなければTRPGは滅ぶなどと妄想を抱いている人ばかりです。
 バカにするなっての。
posted by 回転翼 at 09:01 | TrackBack(3) | TRPG雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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