2005年09月04日

目標を決めるか、与えられるか 〜ポイント制シナリオとAマホの比較〜

 馬場秀和氏考案のポイント制シナリオについて考えてみました。
 どんなものなのかかいつまんで説明しますと……。

1:GMはプレイヤーに複雑な目標を提示する。
  この「複雑」とは、「ある男女を結婚させる」、「さびれた村に活気を取り戻す」など、複数の手段を重ねる必要のある目標である。

2:プレイヤーには、

 ・目標値/目標達成までの道程を表す数値。100から始まり、0で達成。
 ・資源値/PCの資金や時間など行動力。100から始まり、0で時間切れ。
 ・障害値/目標達成を妨げる障害を表す数値。100から始まる。

 が与えられる。
 
3:プレイヤーは目標達成までの解決策を創案する。
  GMは解決策に従い、減少する目標値、障害値の数値を決定する。
 
  例/「ある男女を結婚させる」ミッションで、プレイヤーは「別の交際相手を破局させる」解決策を考案。GMはそれを踏まえて、「目標5点、障害15点」減少とした。

4:障害値はアクシデントの確率でもある。
  アクシデントが発生するか%ダイスで決め、障害値以下で発生。

5:PC1回の行動につき資源値は1点減少。
  金か時間のかかる行動は2点減少。
  戦闘は参加PC1人につき3点減少。

6:資源値が0になる前に目標値が0になれば目標達成。

 これが「ポイント制シナリオ」です。
 一見すると『Aの魔法陣』に通ずる所があります。だが、ポイント制シナリオが目標を明確に提示する必要から、言わばミカン袋シナリオとでも言いましょうか、ミカンを入れる網袋のように途中は様々な展開に分岐してカオスが味わえますが、起点と終着点は固定されているという結果的一本道シナリオになることは否めません。

 これに対して『Aの魔法陣』のシステムだと、そもそも目標自体を遊び手が創案するものです。セッションデザイナーはプレイヤーの創案に応対するのが主で、プレイヤーは自分から目標を提示し、それに向かって収拾するってな感じです。
 喩えれば、システムは地図、セッションデザイナーはガイドブック。プレイヤーはどこに行きたいかを決めてから、地図を読んで道程を考える……そんな感じのゲームなのでしょうか。
 
 目標をまず自分たちで決めるのか、それとも与えられるのか。
 そのどっちが現在のゲーマーに好まれるのでしょうか。

 ミッションすなわち試練に挑戦し打開しようという遊びに燃える人は、どちらかと言えば古い世代の人たちかもしれません。『D&D』がまさにそんなゲームでした。
 逆に言えば、試練や挑戦にストレスを感じる人には辛いゲームでしょう。自分たちは何でそんな目標に向かって進まなければならないのかと不満に思う人もいましょう。この「試練」型の目標提示は、目標自体が単純明快かつ大きなスペックを持っており、他に遊びようがないゲームに向いた方法です。

 自分で目標を立てて行動する遊びが好きな人は、MMORPGなどインタラクティブ性に富んだゲームに慣れ親しんだ人たちでしょう。戦士として戦いをするのも、職人としてものつくりをするのと、まったく接点のない遊びが等価に扱われる「蓼食う虫も好き好き」なのがインタラクティブゲームの特徴です。
 この方式はAマホが抱えてる難しさ通り、試練型シナリオに慣れ親しんだオールドゲーマーにとっては食指の湧かない希薄な方式……「何でもいいってんなら、いくらでも楽な方にしちゃうよ」という妥協への物足りなさ、恐れを感じさせるものです。プレイヤー同士が馴れ合ってしまったらいくらでもレイムダックしてしまうではないのか……そういう危惧を彼らは感じています。

 結局、どちらがいいのか。
 僕自身はウォーゲーム世代の薫陶を受けていますし、試練型の方が安心できます。
 ただ、インタラクティブゲームの影響を受けている人たちは今後5年はTRPG界に新たな潮流をもたらすでしょう。そうした人たちはストレスなく自分たちのゲームをナビゲートしてくれる自己目標型の方がいいかもしれません。

 あるいは両方を折衷する必要があるのか。
 試練型好きが危惧するのは、無目的、無規範、無秩序からなる無気力プレイです。
 自己目標型が嫌うのは、挑戦へのストレスと、目標に邁進する事で旅情を味わえなくなる風情のなさです。
 それぞれの欠点を克服し、良いところを踏み合わせれば、世代を超えて支持を受けるいいシステムができるかもしれません。
 

 
posted by 回転翼 at 09:01 | TrackBack(0) | 更新情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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