2008年05月19日

なぜTORGは後が続かなかったのだろう…

 書棚の整理してたら、『TORG』のカードが破損してたのを発見しました…。
 予備がないので、今後のことも考えて自作することにします。
 
 それにしても、『TORG』は僕ら70年代半ばの『RPGマガジン』育ちの世代にとって黒船級のゲームでありましたが、後が続かなかったという感があります。翻訳ゲームですし、シリーズとして物語が完結してしまったというのもありますけど、あれほど影響力のあったゲームでありながら、その後のTRPG業界に痕跡を残さなかったのは不思議です。復刊,COMでも最上位の復刊希望作品だけに「使命が終わった」状態だとは思えないのですが、絶版になって久しいから知らない人も多いのでしょう。

 『異界戦記カオスフレア』が後継だと思ってた時期がありましたけど、ファンタジーにサムライを出す程度ではマルチジャンルと呼ぶのは少し違うのではと『TORG』を再読して感じました。活劇ヒーローが舞台によってはハードボイルドやホラーを否応なくプレイさせられる、ある意味暴力的なシステムあってこそのマルチジャンルというものです。

 なにより、TRPGにとって宿命的なまでに固定されていた「対抗判定を繰り返して管理資源〈HPなど〉を削りあう」という戦闘システムに初めて別のアプローチを示したという点において、『TORG』はTRPG史に不滅の痕跡を残したと僕は評価しています。
 
 『TORG』が示した戦闘システムは、戦闘中にロールプレイを推奨し、またそれを演技という自己表現を越えてゲームとして無理なく搭載しました。それ以前に毎回引くドラマデッキによって、刻々と変化する戦況を再現でき、プレイヤーたちはただ漫然と殴りあうのではなく、戦況に合わせて機を窺ったり策略を仕掛けたりする、物語としては盛り上がるけどバトルゲームとしてはムダな迷惑行為でしかない演出を可能にしたのは画期的でした。
 
 すなわち、それまで神聖不可侵だった戦闘ですら「演出」という物語再現装置の機能を搭載することが可能なことを作品だってことなのです。それまでTRPGの戦闘はウォーゲームの派生である立場を堅持し、『Chain Mail』以来変わらずミニチュアウォーゲームの基幹を継承してきました。どんなに物語だロールプレイだと提唱しても、権威で以て嘲うがごとく、ミニチュアウォーゲームの伝統ゆかしき戦闘がTRPGの主菜であり、最も充実したシステムが組まれてきました。

 残念ながら、その後のTRPG業界を見る限りでは戦闘システム自体を、デザインコンセプトに合わせて基幹から変えるという野心的な作品は見受けられないのではと思います。どのTRPGでも同じように「対抗判定によるHPの削りあい」に終始しているのではないでしょうか。対抗判定を有利にする数値修正のための技能・必殺技の類ばかりが充実している点も。

 なんでしょう。
 『TORG』は登場するのが早過ぎたゲームなのだったのでしょうか。当時でも何か言葉にならないとっつきにくさというものを感じていました。一部のコアなTRPG通のみが歓迎したのみで、やがてM:tGブームの嵐にひねり潰されたのではという思いを今も感じています。

 10年前とはTRPGを取り巻く環境も、遊び手の気質も違っている現在のTRPG業界において、『TORG』は再評価が必要な反省期入りゲームの最有力でないでしょうか。
 
 などと、期待を篭めてドラマデッキを自作する予定。
 
ラベル:TORG TRPG
posted by 回転翼 at 09:01 | TrackBack(1) | TRPG雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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