2007年04月01日

[涼宮ハルヒの呼び声]追加設定:鶴屋さんとキョンの妹

 4月1日です。この世はホラで満たされます。
 さて、去年8月に書いたクトゥルフ風味ハルヒに関して、追加設定を注文されてしまったので、ここに追加しておきます。別に異能を持ったキャラではないので人間でもええやんと思うんですけど、まぁ一応ということで。

【邪説その5】
鶴屋さんは眠りから醒めた《ンカイに眠るもの》ツァトゥグァである。

 鶴屋さんの正体は、アフリカの地下にあるとされる「ンカイの黒い入り江」に住む異形の神、ツァトゥグァが関係しています。本体のツァトゥグァは蟇蛙のような体型に柔毛で覆われた肌を持ち、空腹の時意外は常に微睡んでいる怠惰な神です。だが、その反面豊富な知識を持ち、注意深い観察者でもあります。
 あらゆる姿に変身できるツァトゥグァであるが、その性格上本体が変身しているとは考えづらく、あるいは、自分の耳目となる眷属なのかもしれません。一説には、ツァトゥグァの発音が人間(ツァトゥグァを崇めていた魔術師エイボンに所縁のある者かもしれない)に訛って聞こえた「チュルヤ」を日本人風の名にしたのが鶴屋さんの名前であると云います。
 表向きは大金持ちの令嬢とされていますが、その実は太古ハイパーポリアの時代からツァトゥグァを崇める魔術師たちの拠点であり、その豊富な資金で古泉一樹が所属する「機関」……ヨグ=ソトースの教団に援助もしています。
 基本的には善意の第三者として振舞っていますが、拠点である鶴屋山を発掘した時にはキョンにンカイを垣間見せることもしました。

【邪説その6】
 キョンの妹は旧き猫の神、バーストが憑依している。

 キョンの妹には古代エジプトで崇拝されていた旧き猫の神、バーストが憑依しているという噂があります。一般にはエジプト名のバステトとして知られるバーストは、千の化身の1つにエジプト人の姿があるニャルラトテップと繋がりがあります。彼女がニャルラトテップの協力者なのか、あるいは監視者なのかは定かではありません。
 すべての猫の神たるバーストは配下の猫たちを眷属として使っています。その眷属の中でも人語を理解し、異能を秘めた猫がキョンの妹が飼っているシャミセンです。シャミセンは偶然を装って涼宮ハルヒ(ニャルラトテップの化身)と接触し、SOS団の動向をバーストに伝える役目を負っています。
 
 
 これでメインキャラはほぼ出したかな。
 それでは今日はこの辺で。

 次回はこれまた居酒屋での酔った勢いで生まれた『Fate/The Masquerade』でも……これはホラで終わるかな?
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2006年11月23日

トールキンの申し子たる涼宮ハルヒ

 今日でSeesaa移籍後100回目のTRPGコラムです。
 でもまとまりきらなかったので今日は雑感のみ。

◆◆◆

 現実の馬に感動するために、人はまず一角獣に会う必要がある。
                   ―――J・R・R・トールキン

 トールキンのファンタジー観を表した言葉として秀逸な一言です。
 僕なりに解釈すれば、一角獣はまだ見ぬこの世、あるいは隣りの異世界にある不思議の象徴であり、不思議に対する好奇心を抱いてこそ、現実世界こそが不思議が満ち溢れている場であることを知る……これこそがファンタジーなのだと思います。
 
 このトールキンの言葉に対して、蓬莱学園のデザイナー・柳川房彦(新城カズマ)はこのような注釈をつけています。


 一角獣に出会うためにも、現実の馬の習性を知っておいて損はない。
                      ―――柳川房彦

 彼の云う「馬の習性」は「知」のことでしょう。
 おそらく、この言葉は「不思議は知によって解明されるべき」という意味があるのでしょう。トールキンの言葉は不思議への好奇心が肯定されていますが、柳川氏からすれば不思議は無知蒙昧な原始的情緒であり、知による啓蒙の方こそ価値があるという意味に取れます。
 柳川氏は自著『プロの発想法で作る! ゲームキャラクター』(BNN)の冒頭でこの2つの言葉を並べています。僕の解釈が的を得ていたなら、柳川氏はファンタジーの御大たるトールキンに挑発的な意趣返しをしたことになるかもしれません。

 もちろん、柳川氏の言葉にもさらに意趣返しは続けることはできます。
 彼が必要性を説く「馬の習性」とは迷信・蒙昧を振り払う知の光ですが、その反面「固定観念」「常識」を持ってしまうことにもつながります。その常識から一角獣という不思議を見たとして、はたして知による解明は起こりえるでしょうか。
 もし知が常識であるならば、彼は一角獣を「馬ならざるもの」として見るでしょう。常識の該当しない存在に不安を感じ、これはモンスターであると断ずるでしょう。無知蒙昧からなる迷信もあれば、常識を持ったがばかりに思考停止するという危険もあります。

 トールキンの目を通して無知蒙昧になるか。
 柳川房彦の目を通して思考停止になるか。

 どちらを価値ありとみなすかは人それぞれです。

 ライトノベルの歴史的変遷は伝達でしか知りませんけど、どうも80年代に隆盛したファンタジーが翳りを見せ、いわゆるセカイ系が一時期隆盛し、現在はその爛熟期にあるようです。

 僕が思うに、このセカイ系の世界観は柳川氏の言葉にこそ象徴されています。セカイ系はファンタジーを知でもって解明しようと試みた挑戦的な小説なのかもしれないからです。

 セカイ系の主人公は全能的な力を以て世界を俯瞰できる立場にいます。セカイ系小説は主人公の内面的な思考がダイレクトに世界を構成しており、彼の葛藤がドラマとしての闘争としてメインに据えられています。
 すなわち、セカイ系の主人公は不思議を不思議と自然に捉えることができません。全能的な力を自覚しているがあまり、彼の価値観ではこの世界に「どうすることもできない」ことなどないはずだが、彼が信じる世界には彼の思考を越えたことばかりだという不安も抱えています。人類を皆殺しにできる力がありながら、親の心すら察することができない……。
 そうして葛藤していく主人公が、最後は近親者を通して社会というものを知り、自己を克服することで救済されていく……これがいわゆるセカイ系と呼ばれるものの大雑把な姿でしょう。

 セカイ系の主人公は知の啓発による自己の救済にこそ重きをおいていますが、その反面思考停止により自己をモンスターと見る危険を抱えています。セカイ系小説は90年代の自意識過剰な価値観の象徴とされているのも頷けます。

 セカイ系によってファンタジーが衰退したのは、世界の不思議を好意的に受け入れるトールキンの好奇心が無知蒙昧だと否定されたのが原因なのかもしれません。ヲタク的な衒学志向によって、この世の姿に象罔(形なきぼんやりとしたもの)としたものがなくなったと意識するようになったのです。

 おそらく、セカイ系は実の所読者の自意識をくすぐらせ、読者にセカイ系主人公よりも完全たる知の姿を垣間見させる……読めばなんか俺って賢くね? って意識を芽生えさせる所に魅力があるかもしれません。

 そう考えると、美少女主義というのも柳川的発想による自我の克服がもたらした言葉なのかもしれません。この場合、一角獣が麗しき幻想の姫君に変化し……、

 現実の少女に感動するために、人はまず姫に会う必要がある。
 姫に出会うためにも、現実の少女の習性を知っておいて損はない。

 となります。
 美少女主義は柳川氏の言葉に従って、幻想の姫君に現実世界の少女たちの姿を当てはめて、外見上の特徴(メイドとか猫耳とか)や内面的特長(ツンデレとか)……すなわち属性とよぱれる尺度でよって幻想の姫君をリアルに解明しようという働きがあるのかもしれません。
 これによって、萌え者は自分こそが姫君の魅力を知りえる存在なのだと自意識をくすぐられるのです。

 んで、このセカイ系も爛熟期に差し掛かってきたとのことです。
 結局、セカイ系に惹かれたエヴァンゲリオン世代も40近くに差し掛かり、そろそろ「人生なんかこんなもんだった」と不惑の時期に入っているからなのでしょう。彼らにとって解明されたセカイはあまり魅力的なものではありませんでした。
 セカイ系はこの世代の老化に伴い、爛熟期から否定期に入り、しばらくは潜伏するものと思われます。

 今年話題になったラノベと云えば涼宮ハルヒですが、僕はこのハルヒが柳川的世界観に対するトールキンの逆襲であると見ています。

 ハルヒの面白い所は、全能的立場にいるはずのハルヒが世界の俯瞰者としての立場を放棄し、この世界は不思議に満ちていると標榜していることです。そして世界の俯瞰者にしてセカイ系主人公の継承者であるキョンをあれこれ不思議に引きずり出そうとするのです。
 
 現実世界に冷笑的で、その陳腐さに鬱屈しているキョンの姿は、かつて思考すればこの世の姿が解明できると信じたポスト・エヴァンゲリオン世代の成れの果てでしょう。そんなキョンに宇宙人や未来人がいればいいのにとキョンの解明したセカイをブチ壊す異端児・ハルヒは失われた一角獣を探すトールキン・ファンタジーの申し子のように僕には見えてきます。

 だからこそ、美少女主義の中で「何をしでかすかわからない」涼宮ハルヒというキャラは異彩を放っているのでしょう。
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2006年08月29日

涼宮ハルヒの呼び声

 副題は「もし涼宮ハルヒをクトゥルフでプレイするなら」です。

 以前、『涼宮ハルヒの憂鬱』をTRPG化するならアイディアがあるなんて云いました。アイディアというより『比叡山炎上』にインスパイアされての突飛な思いつきですけど。
 この設定のもとで『クトゥルフ神話TRPG』をするなら、ハルヒを知らないRPG日本の面々とでもハルヒTRPGを出来るかと思いますし、逆に原作ファンの方にも、TRPGらしい本家取りを楽しんでもらえるかもしれません。

 そんなわけで、さまざまな方法でこのBlogに来た『涼宮ハルヒの憂鬱』ファンの方々、俗にクトゥルフ神話と呼ばれるH.P.ラブクラフトの怪奇小説、『クトゥルフの呼び声』の世界を知らないという方々にはわけの分からない話です。この機会に挑戦してみてはどうでしょうか。



◆◆◆

【邪説その1】
涼宮ハルヒはニャルラトテッブの千の化身の1つである。
 
 彼女の稀有な奇抜さや大胆さ、万能的な才能ときまぐれな発想は、彼女がニャルラトテップの千の化身の1つであるとするならば容易に説明がつきます。ニャルラトテップの化身の1つである涼宮ハルヒは外なる神アザトースの意志を体現するべく、「世界を大いに盛り上げる」という名の下にSOS団を結成。世界を混沌に導こうとしています。もちろん、きまぐれなニャルラトテップにとってはアザトースの意志も大した問題ではなく、ただこの退屈な世界が、(這い寄る混沌によって)面白くなることを楽しんでいます。
 彼女はその活動の一環として、人間で探索者であるキョンと接触。彼を古泉の言葉で云う所の閉鎖空間……ドリームランドに引き入れることに成功します。彼女はキョンがそのままドリームランドに留まることを望んだが、キョンは現世に戻ることを選択し、彼女の陰謀は未遂に終わりました。

【邪説その2】
長門有希は冥王星から飛来した《ユゴスよりのもの》ミ=ゴである。

 長門有希はユゴス星(冥王星)を拠点とする種族《ユゴスよりのもの》ミ=ゴの変身した姿であるとするならば、超越した技術を持ち、惑星間移動が可能な種族なだけに、彼女が人類を超越した高速情報処理能力を持っていること、そして地球に来れる能力を有していることが符号します。
 おそらく、外なる神の代弁者であるニャルラトテップ……涼宮ハルヒの動向を見守るために地球に来たミ=ゴの一員……長門有希は探索者であるキョンに接触。宇宙人であることを告げ、キョンの正気度を下げることになる。
 だが、ニャルラトテップを礼拝しているミ=ゴの中にニャルラトテップをより活性化させようと考える者がおり、かねてから傀儡……ミ=ゴは人間の脳を取り出して保存。残った肉体を操る技術を持っている……として用意していた朝倉涼子を操ってキョン殺害を謀るが、あくまでも観察続行を続ける長門によって抹殺されました。

【邪説その3】
朝比奈みくるは未来から精神交換で乗り移った《イスの偉大なる種族》である。

 朝比奈みくるの正体は、人類誕生のはるか以前に地球で栄えた《イスの偉大なる種族》であると推測されます。イスの偉大なる種族は精神生命体であり、他の種族の身体を乗っ取って生きています。彼らはその精神を時空を超えて移転することができ、現在は人類滅亡後に生息しているカブトムシ状の生物に乗り移っています。
 ニャルラトテップ出現を察知したイスの偉大なる種族は、現代の人間……本来の朝比奈みくるとの間に精神交換を行い、みくるとしてハルヒに接触しました。本来の、書道部にいたとかいうみくるの精神は超古代にあったイスの地底都市にあります。

【邪説その4】
古泉一樹は旧き神々の知識を持った魔導師である。

 古泉一樹は人間です。ただし、超能力者というのは彼なりの穏当なごまかしであり、その正体は古代から禁断の知識を受け継いできた魔術結社の一員です。彼の修辞の多い謎めいた言動は、魔術に接することによるクトゥルフ神話知識の増大と、それに伴う正気度低下が原因です。

 キョンに関しては邪説というものはありません。
 彼はこの世界における探索者であり、プレイヤーの立場にいる唯一の存在です。この世界において探索者とその他一般人との間には、日常の薄紙一枚隣りにある宇宙のおぞましき不可思議に接する鋭敏な感覚の差があります。冷笑家であるキョンはつい他人を観察する性癖があり、涼宮ハルヒという存在を前に、普通の人間なら変人と切り捨て、自分はそんなにヒマでないと関係を避けるであろう問題児をつぶさに観察し始めてしまいました。これはキョンが探索者としての資質……猫殺しの好奇心を持っているが故の業です。
 結果として、彼はニャルラトテップによってこの世界に混沌を呼ぶべく宇宙人(ミ=ゴ)、未来人(イス)、超能力者(魔導師)が集うおぞましき集団……SOS団に強制入部されられ、日々狂気と戦う羽目になるのでした。

◆◆◆

 というわけで、僕が>、『涼宮ハルヒの憂鬱』をTRPG化するならばと思いついたアイディアとは、「この世のおぞましき存在と1つ同じ屋根の下で活動する」ホラーTRPGなのです。
 ニャルラトテップであるハルヒは、退屈だと思えばこの世界をぶち壊せる力を有しています。古泉が「神人」と呼んだ謎の巨大生物の正体は《夜のゴーント》かもしれません。
 PCであるキョンら探索者は、彼女が世界の混沌を招く存在だと云う事実を胸の奥で感じながら、彼女のために世界を大きく盛り上げるべく活動をしなければなりません。それが狂気の螺旋階段を1段ずつ下っていく行為だとしても……。

 う〜む。
 ニャル様ご機嫌取りTRPGか。シュールです。

おまけの邪説
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